日本ベトナム友好協会大阪府連合会/ハノイ通信2010年10月

おしらせ

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★2010/10/30 晴れた秋の終わり、テストしてブンチャー食べた。

PA305159.jpeg午前中、ベトナム語のテストだった。10月に習った中から、新しい言葉や文法が出た。3つのパートに別れていて、1つ目は言葉を選択するもの。

2つ目は、言葉がたくさん書かれていて(例えば、phần thưởng、không ăn thua、thảm họa、mênh mông、số phận、ngỏ lời cầu hôn、gia đình nề nếp、đi về một bóng、có nơi có chốn、ao ước、chuyện chồng con、thầy bói phán、chúi mũi vào、mệt rã rời、tỏ ra、giâú dốt、phàn nàn...)これらを使って作文せよ、というものだった。といっても例文をつくる程度の短いものだ。辞書に載っていないような言葉やスラングもあって、H先生らしいなあと感じた。

3つ目も同じで、以下の文法(例えば、chả mấy chốc mà…、may ra thì…、may mà…、mỗi tội…、chả trách…)を使って作文せよというものだった。

習ったはずなのに、すっかり忘れている言葉があった。分からなくてもとりあえず書いていたから、ぎりぎりになっても終わらなかった。テストも久しぶりだったけど、特に先生(監督者)が目の前にいるテストも本当に久しぶりで(以前の先生はテストのとき「じゃあ90分後ね」とか言って隣の部屋に行ってしまった)、ちょっと緊張して、疲れた。

結果は来週かえってくる。以前「結果が悪かったらもう教えないからね。教えたことを忘れるんなら、私は何のために教えるの?」と、もっともなことを先生に言われたのだ。先生が、解答用紙をちらっとみた時、何も言わなかったのだけど…。どうしよう…。

終わって先生が「ブンチャー食べにいこう」と誘ってくれた。最後のご飯だったらどうしよう。

ここのブンチャー屋は「Bún Chả Hàng Mành」という名前だ。あの有名なHàng Mành通りのダックキムと同じオーナーなのかなと思ったけれど結局、分からなかった。お肉の大きさとかお皿の模様とか、清潔感の具合とかが違うから、別じゃないかなとは思うんだけど…。ぷるぷる揺れるブンがお皿にどーっさりのっていて、細くておいしい。先生が「ここはいつ来ても混雑している」と言っていた。

ローカルだ。ゴミをばんばん落としているし、店員は大声で叫んでいるし、ぜんぜん笑ってくれないし。ハノイらしいなって思う。悪い意味じゃあない。慣れたこともあるけれど「không bẩn thì không ngon」(汚くないとおいしくない)という言葉がけっこうあたっていると思うから。

今日は、先生がごちそうしてくれた。最後の記念とかだったらどうしよう。

ブンチャー屋さん
▼Bún Chả Hàng Mành (Thanh Cong)
▼107 B1 Thanh Cong

朝のハノイは17度だった。お湯を沸かすのに時間がかかるようになった。タイツをはいた。ユニクロのヒートテックを着た。昼は晴れたから、上着をぬいで家に帰った。家にかえって夕寝をしたらたくさん夢をみた。19時すぎころ停電。停電すると、外から子どもたちの奇声がかならず聞こえる。懐中電灯がわりのパソコンをベッドに置いて、部屋をてらした。

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★2010/10/27 Bún đậu mắm tôm。Ngõ Tràng Tiền通り。

PA254989.jpegときどき食べるもの。Bún đậu mắm tôm(ブンドウマムトム)。

朝や昼は、街のあちこちで見かける(だいたいは露店か、天秤棒をかついた売り子さんが売っている)。揚げた豆腐や香草、ブン(米麺を軽く押しかためたもの)を、マムトム(海老の発酵調味料)につけて食べる。何も言わないと、チャーコム(わさ米のさつま揚げ?)がついてくる。わたしは揚げた豆腐よりも、チャーコムの方が、押しかためたブンにはあうと思う。

マムトムが食べられない外国人が多いらしいけれど、わたしは好きだ。ちょっとしんどい日や曇った日なんかに、食べたくなる。気付け薬みたいに。マムトムが苦手なベトナム人もいて、そういう人はヌックチャム(ヌックマムベースのつけだれ)につけて食べている。

一皿18000ドン(約90円)。冷たいお茶2000ドン(約10円)。ここの露店は、10時半から13時半頃までしていると言っていた。オペラハウスのちかくの小さな通り(ゴーチャンチエン通り)だ。ちなみにここの通りは、露店や店が多く、ごちゃごちゃしている。道路にゴミも多い。昼時はバイク一台でも通り過ぎるのが大変だ。でも、おいしいお店があるし、安いし、みんな楽しそうに食べてるし、だから定期的に来てしまう。

そういえばちょっと前にいりりんが、日本もベトナムに習って米粉麺がもっと普及すればいいのにね、って言ってたのだけど、わたしも本当に本当にそう思う。米粒の方が長時間もつのだけど、ちょっと重たいときがある。間食したいときとか、軽く食べたいとき、米粉麺は、すごくいい。つるつるして、するするして、ちょっとぷるぷるして、おいしい。白くてきれいだし。

ハノイはようやく冬の気配。

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★2010/10/25 ベトナム中部の洪水被害 更新版

PA265056.jpg今月のはじめから、ベトナム中部(ゲアン省、ハティン省、クアンビン省)で、立て続けに大雨が降ったことにより、大規模な洪水被害が発生した。数十人が亡くなり(行方不明者を入れると約150名)、その被害は現在も続いていて、ベトナム語のレッスンの時もよく取り上げられる。

破損や浸水状態はひどく、いまも孤立している家や村がある。飲料水が不足していて、インスタントラーメンをかじっているとのことだ。破壊された家屋の復旧や、生活の再建にとりかかっているが、難航している様子だ。小学校や中学校なども被害をうけていて、ある学校では、備品や教材の損失だけでなく、重要なデータや学生の通知表までも、水に流されたという。このような時、どのように対処するのだろうか…。

また10月18日の朝、38名を乗せて国道を走っていたバスが、洪水で流された。18名はすぐに助かったが(バスの窓を自力で割って、あるいは割れた窓を通って出てきたらしい)、20名(運転手1名、乗客19名)が行方不明になった。

その際、バス会社や運転手も責められたのだけど(冠水している道路を走り続けたから)、一方で、救助方法や技術にも問題があるとニュースになった。救助する人が、長いストローをくわえただけで(あるいはゴーグルをつけただけで)裸になって川のなかを潜り、沈んだバスや行方不明者を探していたからだ。結局、14名の遺体が見つかったが、残り6名は不明のままだという。

洪水のニュースに関連するサイトです。
http://vnexpress.net/GL/Xa-hoi/2010/10/3BA21E3B/
http://vnexpress.net/GL/Xa-hoi/2010/10/3BA21E04/page_2.asp
http://vnexpress.net/GL/Xa-hoi/2010/10/3BA21B8E/page_2.asp

日本側も、緊急援助を開始してくれたみたいです。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/22/10/1022_04.html
http://www.jica.go.jp/information/jdrt/2010/101025.html

写真やニュースだけで判断してはいけないけれど、ベトナムの災害時の救助体制の整備や強化は、必要だと思う。

★2010/10/23 10月も下旬なのに暑かった日、タロイモコロッケを食べた日。

PA234787.jpegベトナム語のレッスンが終わったあと、H先生といっしょにお昼ご飯を食べた。むかし教えていたという学生も二人呼んで、パークソンの裏側にある「クエーレストラン」に行った。ここはいつも地元のひとで溢れている。ビアホイには行きづらいけれど、ビアホイに置いているようなメニューを楽しみたいときは、いいと思う。安くて量がおおくて、まあまあおいしい。屋根もあるし。

そういえば留学前、タイビン省の調査に初めて参加させてもらったとき、毎夜、ホテルのちかくのビンザン(大衆)食堂に通った。そのとき、ある物をたべて、おいしいなと思ったのが、タロイモコロッケだ。もし留学したら、このコロッケがいっぱいいっぱいいっぱい食べられるんだ、と思うとうれしかった。でも。

いざ留学をはじめたら、このタロイモコロッケは、フォーやチェーのように食べられなかった。大勢で食べるところでしか、オーダーできないのだ。

ハノイで、タロイモコロッケを置いているレストランはたくさんあると思うけど、意外と知らないままで、だから、このコロッケが食べたくなったらここに来ることにしている。でも、ひとりじゃ来れないし、ふたりでも人数が少ないし、ちょっと不便だ。

今日は、四人でいっぱい食べて、約300000ドン(約1500円)。

ちなみに、ここのメニューにはタロイモコロッケのことを「khoai môn lệ phố」か
「khoai lệ phố」と書いていたと思う。

「Nhà hàng Quê(ニャーハンクエー)」
住所:77 Ngõ 252, Tây Sơn, Đống Đa, Hà Nội.
電話:(04) 38574658

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★2010/10/22 こっくり香ばしい、Lo Duc通り13番のフォー。

PA224707.jpegきょうのお昼ごはん。ロードゥック通り13番の牛肉のフォー。ハノイで人気のあるフォー屋さんのひとつ。

炒めた牛肉をのせていて、ふつうの牛肉フォー(pho bo)よりも香ばしい。お肉はけっこうかたいけれど、スープがこっくりしていて、ねぎが多くて、ちょっと癖があって、わたしは好きだ。

一杯25000ドン(約120円)。つめたいお茶2000ドン(約10円)。メニューにお茶はないらしく、外のお茶屋さんから持ってきてくれたみたいだった。
いつからだろう、フォーをたべるとき、つめたいお茶(tra da)が飲みたいと思うようになった。

うわさでは、ある韓国の人が、ここの店主にフォーの作り方を習いにきたらしい。ちゃんと生麺をつかったフォー屋さんが、すでにソウルに出ているとか聞いたけど本当だろうか。

日本でも生麺のフォー屋さんが、いっぱいできるといいのにな。

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★2010/10/20 Hang Hanh通り29番のブン。あたらしい料金表。

有名なお店だから、知っている人も多いと思うのだけれど、ここのブンとソイはおいしい(いちおうカフェだから飲み物もおいている)。朝9時から昼2時ころまでしか開いていなくて、しかも朝食時や昼食時は、たいへん混雑している。一杯22000ドン(約110円)。以前は、一杯のブンがいくらなのか、はっきり分からなくて、外国人は高めにとられていたりもしたのだけど、今日いくと手書きの大きな料金表が壁に、ばーん、と貼られていた。

チェーン店や流行っているお店は別だけれど、料金表のない食堂や屋台は、今もすごく多い。外国人だと、5000ドン(約25円)から10000ドン(約50円)高く言われている気がする。でもベトナム語が少しできると普通料金で食べられることも多い。

これからだんだん、料金をちゃんと表示するところが増えて、市場も屋台もみんなクリアーになっているところを想像すると、ちょっとさびしい。

ちいさな路地で、フォーを食べ終わって、「おばちゃん、いくら?」と聞いて、「この子は外国人だから、ちょっと高くしようかな」と考えているだろう、あの二秒か三秒を待つとき、なんていうのだろう、なんともいえない、なんともいえない、ベトナムっぽさが感じられる、一瞬だったりするのだ。

さいきん、ハノイは秋です。これからしばらくは、いつでも深呼吸できる、きらきらの季節です。

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★2010/10/18 チョホム。色とりどりの生地をみあげながら。

ベトナム旅行の楽しみのひとつは、服を作ることだと思う。こちらに住んでいると作ることはほとんどないのだけれど、誰かが旅行に来てくれたときは(その人が女性だと特に)オーダーメイドしてもらう。

いきなり、仕立て屋さんに行っても服は作れる。でも置いている生地の種類が少ないから、だいたいは市場に行く。そちらの方がリーズナブルだし、仕立て屋さんも生地の持ち込みは嫌がらない。むしろ一緒に生地を選ぶ手間がはぶけて、喜んでもらえたりする。

生地といえば、チョホム(ホム市場)の二階が有名だ。そこに行くと、めまいがするくらい、あらゆる生地が積まれている(ちなみに一階では果物や衣類が売っていて、ちいさな屋台も出ている。今日は砂糖入りの豆乳を飲んだ。一杯10000ドン。約50円)。

「チョホムの生地は高い」というベトナムの人もいるけれど、でもとにかく種類が多いし、売り子さんによっては安く売ってくれるし、いろんな売り子さん(ほとんどが女性や女の子)の仕草や行為を見るのも、楽しい。なによりも、旅行に来てくれた人が喜んでくれる。市場にはいると「わああああ」とか「ひええええ」とか言ってくれる。

ちなみに、先週、旅行に来てくれたMさんは、自分のと旦那さんのと自分のお姉さんのとお姉さんの友だちの分の生地を選んで、オーダーした。今日は、また別の人のシャツを作るため、生地を選んだ。四種類の生地だけうつっている写真の、上から順番に値段を書きます(領収書は言わないとくれません)。

・白地に、青色や茶色のチェック。1m60000ドン(約300円)
・ピンク地に、うすい緑と白のストライプ。1m60000ドン(約300円)
・白地に、水玉と斜めストライプ。1m60000ドン(約300円)
・茶色地に、黒と白のストライプ。1m55000万ドン(約270円)

女性の長袖ブラウスだと1.5m~2m、男性のシャツだと2m必要だと言われる(生地屋さんで「こんなのが作りたい」と行って、サンプルを見せると一番確実です)。今日はシャツ用だったから、すべて2mで良かったのだけれど、でも茶色地の生地だけ、3.2m買った。その生地が、残り3.2mしかなくて「これ全部買って」と言われたのだ。「いらない」と首をふっても「1.2mだけ残っても売れない!」と強く言われる。

「1m55000ドンでしょ。3.2mで本当なら176000ドンでしょ。でも140000ドンにするから買いなさい!」と電卓を目の前でカタカタはじかれて、わかった、と首を縦にふるまえに、袋に生地を入れられた。「お姉さん、上手だね」とわたしが言うと、その売り子さんが、にい、と笑った。

仕立て屋さんは、旧市街に行くことにしている。旧市街だと外国人むけだから高いのだけれど、でも、生地屋の売り子さんも言っていたのだ。「旧市街だとちょっと高いでしょ?でも、安い仕立て屋さんだと、下手だったりするから、高くても確実なところは、けっきょく安いよ」。

ちなみに旧市街で仕立ててもらうと、シンプルなシャツ一枚で、160000ドン~200000ドン(約800円~1000円)だ。ドル払いもできる。はやくて2日間。おそくて5日間くらいかな。

うずたかく積まれた生地をみあげて、着る人の体格や顔や仕草を想像する。生地を触って、値段をきいて、うーん、どうしようかなあって迷う。売り子さんの強引な押しに負けないように頑張らないといけないけれど、それに夏の市場なんて呼吸ができないほど蒸し暑いけれど、でも、やっぱり、それらの時間は、たっぷりしてるし、わくわくするし、何ていうか、こころと未来が、ちょっとにぎやかになる。

チョホム。いいですよ。

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★2010/10/17 第1回ベトナム国際映画祭(10/17~10/21)

今日から21日までの5日間、タンロン遷都千年祭を記念して、ベトナムで初めての本格的な国際映画祭が開かれます。

各国から集まった映画が合計60本以上、上映されます。日本からは、細田守監督『サマーウォーズ』と『時をかける少女』、土井裕康監督『ハナミズキ』 、宇恵和昭監督『ダーリンは外国人』、野村友里監督『eatrip』、想田和弘監督『精神』が出るそうです。

どの映画もベトナム語字幕付。有料(チケットは上映会場で販売)。場所は、国立映画センター(87 Lang Ha)、メガスター(6F, Vincom City Towers, 191 Ba Trieu)、プラティナム・シネプレックス(4F, Garden Mall, Me Tri)です。

ウェブサイト: http://vniff.com/


この動画は、You Tube規約に基づいて掲載しています。
なお、映画祭終了後は閲覧が出来なくなる可能性があります。

アニメ以外の日本映画って人気がなくて、ベトナム人にもときどき「つまらない」って言われるし、ちょっと、心配…。

教えてくださったKさん、ありがとうございました。

★2010/10/10 Chúc mừng 1000 năm
            Thăng Long - Hà nội !! ★

Chuc mung Hoi huu nghi Nhat-Viet Osaka, chuc cac mon an Viet Nam, chuc cac chuyen gia ve Viet Nam, chuc cac ban dang song o Nhat Ban, chuc cac ban dang song o Ha Noi - thu do dat nuoc Viet Nam!!

*作者の意向により、一部の画像はクリックしても大きく表示されません。

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★2010/10/02 タンロン・ハノイ遷都千年記念大祭、第二日目

昨日、タンロン・ハノイ遷都千年記念大祭が開幕した。期間は10月10日までの十日間。開催されるイベントの日時・場所の情報等は、先月9月27日の日記の写真にのせてもらっています。

また、こちらにも少しですが情報があります。
http://jp.hanoi.vietnamplus.vn/

せっぱ詰まった個人の事情で、ほとんど参加できそうにないのだけど、夜、友人から「いま旧市街にいて、バイクがないから迎えにきて」(セーオムやタクシーが不足しているのだ)と連絡があったのをきっかけに、ホアンキエム湖を一周してきた。夜の22時ころだったからか、予想していたより混雑していなかった。

10月6日、タイ湖公園でフードフェスティバルが開かれるそうなのだけど、もう、どうしよう。

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★2010/10/01 日本製の歯間ブラシ

夜、一階に下りると突然、大家さんがわたしを呼びとめた。

「エムオーイ。今度帰国するのっていつだっけ?」「帰国?まだわからない」「じゃあ教授がくるのはいつ?」「きょうじゅっ?」「日本の教授よ。ほら、よくハノイにくる研究者たち」「ああ、ヒストリアンか(は日本語で言った)。えーと、年末って聞いてるけど…」「じゃあね、教授にこれを買ってきてもらえるように頼んでくれる?」

といって差し出されたのが、日本製の歯間ブラシ。大家さんは、歯をきれいにするのが好きだ。食後はすぐに歯をみがくし、歯間ブラシもつかっている。ハノイで買うとたいへん高いらしく、ドイツに留学している娘さんが持ってかえってきたドイツ製の歯間ブラシは「大きくて歯のあいだに入れると痛い」のだそうだ(ドイツ人の歯間ってひろいのだろうか)。

「日本製」は何でも喜んでくれるけれど、歯ブラシや歯磨き粉なども喜んでくれるもののひとつだ。ちなみに前回帰国したときに大家さんに頼まれたものは「爪切り」だった。「ベトナムの爪切り、切れないのよ。日本製のが一番いいから、買ってきてね」。

日本のちいさな薬局屋で「ベトナム人にたのまれて。日本の爪切りいいらしいですね」と言ってお金をだすと、丸いメガネをかけたおじさんが「そうですかいな」と言った。「むっかしはねえ、ドイツ製が、いっちばんええって言われてたんですけどねえ」。

ちなみに、今までベトナムの人に「買ってきてほしい」と頼まれたのは「化粧品類」「携帯電話」「デジタルカメラ」「カメラのレンズ」「パソコン」「炊飯器(これは断った)」「アニメ」「サプリメント」「チョーヤの梅酒」。それらのものよりは「歯間ブラシ」や「爪切り」の方がずっといい。軽いし壊れにくいしそれほど高くないから。いちばん引き受けない方がいいのは「機械類」。買って持って帰って渡すだけで終わらないから。説明書を「訳して?」とお願いされるし、壊れたときは「日本で修理してきもらえる?」と言われてしまうから…。

それにしても、教授に歯間ブラシを買ってきてと頼むように頼むことができるって、うーん、やっぱりベトナムだなあって思う。頼むのも頼まれるのも、平気なのだ。それが教授であっても、歯の間にはさまったものをとる掃除道具でも、関係ないのだ。だからわたしはベトナムにきて、ベトナムの人に何かを頼むとき、楽に感じるようになった。「いーよー」って引き受けてくれる。「ごめんね」と言うと「なんで、ごめんなの?」と不思議そうに言う。

でもでも、やっぱり日本で何かを買ってハノイまで持ってきてくれるようにお願いするのは勇気がいることで、逆の立場だったらけっこう神経を使ってしまうし、うーん、どうしよう。

「添付した写真にうつっている歯間ブラシを買ってきて下さい」とメールが届いてしまったら、ごめんなさい。あと、日本製のがいちばんいいからと言われるまでの歯間ブラシや爪切りを、つくってくれた日本の人たち、なんていうのか、やっぱり、ありがとうございます。日本にいると、いろいろ、感謝できないんですけど…。

今日は、タンロン・ハノイ遷都千年祭が開幕した第一日目なのに、歯間ブラシのお話なのでした。

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