日本ベトナム友好協会大阪府連合会/Pi日記2011年5月

おしらせ

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*2011/05/31* あしたから6月

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家がまだみつからない。

このままホテルで、暮らすのかな。

暮らしてもいいか。

あしたから6月だから。

*2011/05/26* まるごと青の日。たまごがおいしかった日。

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おひるやすみ、コムビンザンに行った。

5人で行くと、おかずがいっぱい頼める。たまごがおいしい。

きょうの海の色と空の色は、おなじクレヨンで描いたみたいだった。

世界が、ひかりをあびて、まるごと青だった。

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*2011/05/25* お弁当を買った。


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ひさしぶりに、コンビンザン(大衆食堂)のお弁当を買った。

25000ドン。

やっぱりムック(イカ)が、やわらかいのだった。

*2011/05/24* ファンティエットのバインセオ

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帰り道、以前から気になっていた、ちいさなバインセオ屋さんに入った。

17時ころから3時間ほどしか開けていないお店。持ち帰りをオーダーしている人も多い。

生地がもちもちっとしている。具のイカが新鮮でおいしい。
これでひとつ4000ドン(約16円)。破格の値段だと思う。

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*2011/05/23* 天使の団扇海老

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ハノイから、YさんやKさんが来てくれたので、みんなで海産物を食べに行った。

海沿いのSóng Biển(海波)というレストラン。ここはすこし割高だけれど、わたしは好きだ。波の音をいっしょに食べられる。

Yさんが頼んでくれたエビに、おどろいた。「ウチワエビ(団扇海老)」と言うらしい。1キロ50万ドン(約2000円)だったと思う。ベトナム語では「トムヴォーニー」とかなんとか言ってたような…。

ホタテもイカもおいしかったのだけれど、このエビが、おいしかった。ファンティエットの雲みたいに、天使みたいに、いっぱい白いところがあった。身がほろっととれた。味は、エビみたいでカニみたいで、なんだか、食べやすかった。

家族や友だちや先生が来てくれたときは、このエビを食べてもらわないと…。

Yさん、教えてくれて、ありがとうございました。

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*2011/05/21* 青空土曜日、そして、ざあざあざあ。

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休日。家を探しにいこうと思ったら、10時ころTさんから電話。お昼を食べにいこうと誘ってくれる。

仔牛の肉を食べに行った。サイゴンから来たTさんのお兄さんや後輩も一緒だった。きょうも晴れた日で、空はまっさおで、雲はモクモクだった。なぜかあまり食べられなかったけど、みんな、氷のはいったビールをのんびり(でもときどき「ヨー!」という乾杯の音頭をとって)飲んでいた。

とつぜん大雨が降った。ばつばつばつ、と音をたてて始まって、やがて、ざあざあざあの雨にかわった。しばらく止まなかった。みんなでその雨を眺めた。

ファンティエットにきて、こんな大雨を見たのは初めてだった。

ほっとした。うれしかった。

この雨でなにかが変わると、いいのにな。

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*2011/05/20* 法務局と貝と法務局

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午前中、法務局に行った。いろいろな手続きがスムーズに進まない。さらに電話や窓口で、自分のベトナム語が通じなくて、情けなくて情けなくて、日本に帰りたくなる。

昼休み、貝を買った。きらきらな日射しの下で売られている貝たちは、ふしぎと新鮮に見えて、おいしい。4万ドン(約160円)。

午後、また法務局へ。ある証明書を発行してもらうために、一時間半ほどかけて申請する。所定フォームに、14歳から現在までの居住地を記載する欄があり、また、父母の氏名や生年月日の記載欄もあった。ベトナムでカルチャーショックを受けることは少なくなったけれど、きょうはその日だった。

ようやく手続きがすむ。6月27日に発行してもらえるとのこと。本当に発行してくれるのだろうか…。

担当者がおしゃべりで親切な女性だった。わたしが家を探していることを知ると、すぐに電話をして親戚の人に聞いてくれたりもした。

「婚姻手続きもここでできるから、いつでもおいでね」と言ってくれる。わらって返事をする元気は、残っていなかった。

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*2011/05/17* 朝はやく、海にはいった。

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祖母の命日だからというわけではないけれど、4時まえに起きてしまう。海にはいろうと思う。

ファンティエットに来て、一度もはいったことがなかったのだ。ホテルを出て海辺に着くと、歩いたり体操したり泳いでいたりする人がたくさんいて驚く。ゾウリと帽子を海辺に置いて、海に入ると、その冷たさにもっと驚く。

朝の海は(といっても昼の海をしらないのだけれど)こんなに冷たいのに、温泉につかっているような顔の人がいる。風邪をひかないのだろうか。

オレンジ色のうすいひかりは、砂や波や人々をてらして、海面にうつった立体的な雲は、自分のすぐそばでゆれた。首までつかって、息をとめて、目をつぶって、潜る。

波といっしょにゆらゆらしたせいか、朝日と夕日の色の違いがわからなくなったせいか、時差惚けしたみたいになる。からだが冷たくなった。

朝はやくに海にはいるのは、人生でもうないかもしれないし、海にはいることさえも、もうないかもしれない。

バターは食べるもの、ラジオは流れるもの、海と命日は感じるもの、だと、思った。

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*2011/05/14* 眩しいムイネー、午後のケーキ、夜の焼き貝。

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なかなか住む家が見つからないので、バイクで探すことにした(こちらは不動産屋に通さず、家に直接張り紙をしていることが多い)。バイクをレンタルして(1日20万ドン、約800円)、朝からファンティエットとムイネーを走る。

晴れて晴れて、眩しい日。バイクに乗るのは久しぶりだった。海岸沿いを走ると、ひかりを泳ぐ魚みたいになった。

ムイネーは、昼間だからからか閑散期だからか、しーんとしている(11月から3月ころに観光客が集まるのだそうだ)。たちよったカフェはエアコンがついていなかったけど(ムイネーの店はどこもエアコンがついていない)、ひさしぶりのカフェで、ほっとした。うきうきした。お昼を食べて家を探して、汗をかいたから、またカフェに寄った。

二軒目のカフェはロシア系のカフェで、好きではないけれどセンスのいい絵がたくさんかけられていた。生クリームののったケーキがきて、アイスコーヒーがきて、クリームとケーキがうれしくて写真を撮りながら食べた。ロシア語とベトナム語のメニューがめずらしかったから、黄色のメニューも撮っていた。

突然、オーナーがやってきた。「どうして写真を撮るのか?」。

今まで生きてきて、突然の質問にきちんと答えられた試しがないのだけれど、この時もそうだ。「あの、えーと、ただの、記念に…」としどろもどろに答えた。目の前に立ちはだかったロシア人は大きかった。陶器のような視線。威圧的な言葉と態度。片耳にひかるピアス。

あたまが真っ白になった。

悲しみはいつも、数時間後にあらわれる。

夜、暗い歩道の屋台で貝を食べているとき、それはやってきた。すぐに答えられない自分が悔しくて、ケーキを食べている途中にあんなことをするオーナーが信じられなくて、写真を撮るときに慎重になっていない自分が情けなくて、だんだん鼻や喉がじんじんしてきて、香ばしい焼き貝を食べながら、泣いた。そうしたら、悲しくなって悲しくなって、悲しくなった。

貝はおいしかったのに、涙も鼻水もとまらなかった。

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*2011/05/13* Mận ーすずしくてしゃりっとした果物ー

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毎日暑いからか、ホテルに滞在しているからか、おいしいお菓子やチェーがないからか、果物を以前より食べるようになった。

好きなのは、ザボン、グアバ、スイカ、ドラゴンフルーツ(ファンティエットのドラゴンフルーツはおいしい)。さいきん気に入ってるのは、あかーい果物。ベトナム南部では、マンというけれど、北部や日本ではなんて呼ばれているのだろう? 1キロ1万ドン(約40円)くらい。

リンゴと梨がまじったような味。さっぱりと瑞々しく、しゃりっとしている。手のひらにのるおおきさ。皮も剥けないほどにうすいから、洗って切って食べるだけ。種もない。

寝る前、あるいは深夜に、冷蔵庫からとりだす。暗い部屋のなかで、オレンジの光に照らされたあかい果物は、まるごときちんと冷えていて、食べたとたん、ファンティエットが秋になる。

日本にとどけたいけど、とどけられない。

無口な果物を花束にして。

<追記>
「Mận」は、ウォーターアップルと呼ばれるそう。和名は、ミズレンブ(水蓮霧)。きれいな名前の果物。

D先生、ありがとうございました。

*2011/05/09* ゴーヤと誕生日

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昨日(5/8)はゴーヤの日だそうだけれど、ファンティエットにきて、ゴーヤをよく食べるようになった。

ゴーヤ(苦瓜)のことをベトナム北部では「mướp đắng(ムオップダン)」、南部では「khổ qua(コークワー)」という。「đắng」と「khổ」は「苦」で、「mướp」と「qua」は「瓜」という意味だそうだ。

日本にいるときは沖縄や沖縄料理屋に行く機会が多くて、そのときにもよく食べた。とくに名護に行ったときのゴーヤサラダはおいしかった。ファンティエットのゴーヤは、スープ(ゴーヤを輪切りにしてその中に肉をつめたものを煮込んだスープ)と炒め物によく使われるけれど、日本やハノイのものよりも、苦いと思う。

そういえば今日、ゴーヤと沖縄の魅力を教えてくれた先生の誕生日だ(「号泣(5/9)の日」とその先生はおっしゃっていた…)。

誕生日といえば、いつも小さく困ることがある。それは、誕生日を覚えていて、お祝いのメールを送ろうかどうしようか迷うときだ。

毎年送っている人には送れるけれど、でも例えば、過去に仲のよかった人とか、あるいは先生とか先輩とか後輩とか、知り合ったばかりの人とか同僚とかには、毎回ちいさく迷ってしまう。だいたいは迷ったすえ、送らない。お祝いのメールをもらっても困るだろうと思うから。

でも、メールがなくて寂しい思いをしていたらとか想像もしてしまうし、いっぽうで、本人が自分の誕生日を好きじゃなかったり、おめでたくないと思っていたら、どうしようとかも考えてしまうし、その果ては「おめでとう」という言葉の意味をさぐりはじめて、収拾がつかなくなったりもする。

話しは飛ぶけれど以前、自分の誕生日のとき家族からのメールがなく、昼を過ぎても届かず、どうしてだろうと思うことに疲労してしまい、メールをした。「待つの疲れたから、お祝いのメールをちょうだい」と。すぐに誤りとお祝いのメールが届いて、落ちついた。

誕生日を覚えてしまったとき、メールを送ろうかどうしようか迷ったとき、みんな、どうしているのだろう。

**2011/05/06* ゆらゆら

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空と
海が
ゆらゆら

過去と
未来が
ゆらゆら

バターと
ミルクも
ゆらゆら

あなたと
わたしも
ゆらゆら

みんな
ゆらゆら

するのかな

*2011/05/05 無愛想で甘いビントゥアン省バスターミナル

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ファンティエットにも駅はある。その名もファンティエット駅。ちいさな終着駅と始発駅で、ホーチミン行きは一日二便。

でも一度も利用したことがない。個人的には鉄道の方が好きなのだけど、ホーチミンーファンティエット間は、バスに乗る。便数が多いし、途中で休憩するとき、運がよければアイスクリームのおいしい休憩所に寄ってもらえるから(ここのアイスクリームはすごーくおいしい。Hちゃんに食べてほしい)。

この区間にかぎらず、ベトナムはバスが発達している。というよりも鉄道が発達していない。ディーゼルエンジンで単線で、スピードが出ない。ハノイーホーチミン間(約1700km)はだいたい30時間かかる。

バスの方が(良くも悪くも)速いくらいだ。いろんなところから、いろんなバスが出ているから便利でしかも安いけれど、運転手やバスによっては命を預けることになる。

ホーチミンーファンティエット間を移動するときは「マイリンエクスプレス」に乗る。他のバス会社に比べると安全運転で、ちゃんと一人一席あって、車内もきれいだ(それでもやっぱりバイクを積む乗客がいて、出発が遅れたりもする)。

ちなみに、マイリンエクスプレスの座席には枕が備え付けられている。濃い緑色の、見た目が良くない首枕。この枕がいい。ちょっと固くて、首にあって、疲れにくい。でもこの枕を見るたびに、なぜか小中学校の体育館を思い出す(カーテンとか卓球台とかジャージとか、式典のときに敷かれる重たいマットとか、非常用照明装置とか、バレーボールのネットとか)。

そういえば、初めてファンティエットに足を踏み入れたのは、このターミナルで、玄関口だからもっと風情のあるところだと良かったのにと思うのだけれど、なんの特徴も愛想もない場所だ。

それでもここからバスに乗るときはホーチミンに行くときで、それはおいしいケーキやスコーンやマフィンが食べられるということで、もうすぐ会えるバターと砂糖の匂いに胸をふくらませる、甘い場所でもあるのでした。

ああ、書いていたらドーナツが食べたくなった。

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*2011/05/02* ムイネー

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ファンティエットのとなりのムイネーに行った。25キロ(タクシーで20分)ほど離れた、ベトナムで有名な観光ビーチ。ニャチャンほどではないにしても、ファンティエットよりずっと洗練されている。

海がすきとおっている。外国人がたくさんいる。おしゃれなホテルやカフェがある。イタリアンも和食もある。スパもクラブもバーもある。ロシア語の看板も、いーっぱいある。

通勤に時間がかかってもよければ、ここに住めないことはないんだ…。

バイクで海沿いを毎日はしる。朝のひかりをあびて、夕日をあびて、海の匂いをくぐりぬけて。海産物をたべて、ときどきワインを飲んで、それでも飲み足りなかったらバーに行く。

楽しそう。いや、寂しいかも。

*2011/05/01* ゆうぐれの風

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太陽のかがやきが
めをとじるころ
あなたは
静かにほほえむ

そして
ため息をついて
あらゆるものを
だきよせる

教会の鐘の音を
ドラゴンフルーツ畑を
おびただしい漁船の揺れを
人々の一日の疲れを

あなたは
街中を
愛撫する

たっぷりとした
その
やわらかい息づかいで

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