日本ベトナム友好協会大阪府連合会/Pi日記2011年7月

Vちゃんとご飯に行くことになった。

「エム、なにが食べたい？」
「ブン」
「チはブンが嫌い」
「なんで？」
「おなか痛くなるから」
「エムはブンが食べたい」
「…」
「食べたい食べたい食べたい」

Thủ Khoa Huân通りのブン屋さんに連れて行ってくれる。

でてきたブンには、わさわさと具がのっていた。まあるい大根やおおきな牛すじは、やわらかい。汁はちょっとこってりで、あまい。南部のブンって、みんな、こんな感じなのだろうか。

なんだか、おでんを食べてる気持ちになる。

帰り道、大雨が降った。途中バイクをとめて雨宿りをする。でも雨はひどくなる一方で、このまま待っていると道が浸水しだすので、思い切って帰る。はげしい雨が目の中にばつばつ入って、痛かった。

からだが冷えた。せっかく、おでんブンを食べたのに。

ファンティエットの特産品というと、ヌックマム（nước mắm）、ドラゴンフルーツ（thanh long）、イカの一夜干し（mực một nắng）などが有名だ。

ザンムック（răng mực）もファンティエットにしかないものだけれど、特産品まではいかない。すごくすごく大衆料理なんだそうだ。「ザンムックを食べたよ」というと、ファンティエットの人は、ぷーっと笑う。

「Răng」は「歯」、「mực」は「イカ」という意味なのだけど、でもイカの歯を食べるのではない。丸いかたちをしてるから、目玉かとも思うけど、そうでもない。イカの口のなかの一部なんだそうだ。でもいったい、イカの口のなかの、どこを食べているんだろう？

最初は事務所のUさんが「あれ、めっちゃうまいで」と教えてくれた。さっそくそのあたりのお店に行った（Nguyễn Tất Thành通りに数軒ある）。

一粒が本当にちいさくて、そしてこりこりしている。揚げたり、焼いたり、蒸したり、炒めたり、いろいろな調理方法がある。焼いたのは特に、中高生が好きそうな甘辛い味で、下校中にぴったりな感じ。わたしは揚げたのがいちばんおいしく感じた。